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☆☆ 歴史好きのミステリーファンにお薦めの一冊 ☆☆

     『飛鳥探偵帖 『盗まれた国書』  上宮 真人

           表題作他 『吉備路の怪』
                  『英雄の研究』

                            (角川文庫)


 なんと、かの聖徳太子を名探偵に仕立て上げた異色の一冊。
 各部分の考証なども的を得ており、単なる小説ではなく聖徳太子に関連した歴史上の新説とも見られるほどで、当HPで『ミステリーの部屋』に入れるべきか、『異説日本史の部屋』に入れるべきか迷ったが、 筆者御自身が歴史上の出来事を題材に取り入れたフィクションと見なしていることが伺えるため、ミステリーの部屋で紹介させていただくことにしました。


 表題作の盗まれた国書は、遣隋使の小野妹子が隋より帰還する際、百済国内にて隋帝よりの国書を盗まれた事件を題材としたもの。
 この事件には基より不可解な部分が在る。通常、国書は自国の使節が携行し、訪問先の為政者に直接手渡すものである。この場合は隋使として斐世清が、副使として遍光高が同道しているのであるから国書は少なくとも彼らの一行が、 当時の仕来たりを考えれば裴世清自身が携行するべきものであろう。
 物語の中では正式の国書は裴世清が携行しているが、隋帝より倭国王への密書を小野妹子が届けるということになっている。それを難波の館で何者かに盗まれたのである。無理が有るといえば無理が有る設定だが、 もし仮にこのようなことがあるとすれば正式の国書で大っぴらに伝えられないことを密書で伝えるのであるから、どちらがより重要なものかは一目瞭然である。
 当然のこと、小野妹子は窮地に陥るが、ここで聖徳太子が推理を閃かせて犯人を割り出すのみでなく、国書の内容を迄も推察して事無きを得て円満解決となるのである。


 吉備路の怪は、聖徳太子が当時の同盟国である百済の阿佐王子と連れ立って吉備の国を視察に訪れた時のことを題材としたものです。
 元々吉備には大豪族が栄え、比較的遅くまで大和朝廷の支配を免れていたのですが、聖徳太子の時代は既に大和朝廷の支配下に属した形となっています。ところが大和朝廷の支配を受けるようになって日が浅いため、 吉備内部では大和朝廷への反発が残っている時期でもあったのです。
 しかし吉備の内部事情がどうであれ、支配下に在る自国に大和朝廷の皇子と、更に同盟国とはいえ実質的には上位に位置する百済国の王子が視察に訪れるのですから表向きは盛大な歓待をするのが当然であり、 聖徳太子の皇弟であり大和朝廷の出先機関、大宰(おおきみこともち)の長官である当麻王(たぎまのおおきみ)の指揮下に宴の準備が進められていた。
 ところが宴のクライマックスとでもいうべき、吉備各地の銘酒の飲み比べが行われたとき、上道(かみつみち)の大酒瓶の蓋を開けたところ上道臣、田主の亡骸が浮かび上がってきたのである。
 大和朝廷の皇子の前で大失態を演じたとパニック状態に陥る吉備側の人々をなだめるためもあり、聖徳太子と阿佐王子はのん気にゲームでも楽しむように、しかし鋭く怪事件の謎を解き明かしていく。


 英雄の研究は聖徳太子の晩年、都で起こった鬼騒動を題材にしたものである。
 ある冬の朝、都の大路に三匹の鬼が倒れていた。見るからに恐ろしげな風貌の大男であるが、三匹ともものの見事に斬り殺されているのである。
 陽が上がるにつれて大勢の見物人が集まり遠巻きにながめているのだが人々の話題は、「あの恐ろしげな鬼を三匹も斬ったのは一体誰なのか?」 ということに尽きた。
 やがて現れたのは聖徳太子の側近で近江国の豪族の長、犬上君御田鍬(いぬかみのきみみたすき)と山背(やましろ)の葛野、現在の京都盆地を本拠地とする新羅から渡来した大豪族の族長、秦造河勝(はたのみやっこかわかつ)。 二人は倒れているのが鬼などではなく、山の民が餓えて食糧を奪いに里へ降りてきたものだと見抜く。一方、聖徳太子の隠密の機関長ともいうべき大伴連細人(おおとものむらじくわしひと)は鬼の斬られ方を見て、斬った方は力余りて技足らず、と評します。 力任せに叩き斬るだけで刀の使い方を知らない、このような斬り方をすれば刀は刃こぼれして二度と使い物にならなくなるというわけです。
 鬼の正体も、鬼退治の英雄もその実たいしたものではないことはわかりましたが、肝心の鬼退治の英雄は何時まで経っても名乗り出てきません。ようやく名乗り出たと思えば、褒美欲しさのまがいもの。
 これだけ騒ぎが大きくなっているのに名乗り出ないということは、鬼退治の英雄には名乗り出ることが出来ない理由が在ること間違い無しと考えた聖徳太子はさり気なく聞き込みをして、意外な英雄を探し出すのである。
 見つけ出された鬼退治の英雄は、力も足らず技も足らずの優男であったが、果たしてその正体は?


 聖徳太子を名探偵に仕立て上げて歴史上の謎を解くという、一歩間違えればコメディにもなりかねない内容を、専門の歴史研究書と見紛うばかりにまとめ上げた著者の日本史の専門知識と文章表現力はまさに敬服に値するものです。
 著者名の上宮真人はペンネームですが、巻末で解説を書かれている郷原宏氏によりますと、著者は様々な理由から特に本名を秘しておられるが、日本古代史、とくに飛鳥時代の国際交渉史の研究にかけては専門学者も裸足で逃げ出すという碩学、 著書もたくさん出されているとのこと。
 さもありなん。もしかしたら著者はこの内容を本当は研究書として出したかったのだが、余りにも荒唐無稽な内容であるため、歴史ミステリーという衣を被せて世に出したのではなかろうか。



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